【緑景へ続く家】

【設計コンセプト】

-場所の象徴を空間の拠り所に-

岡山市東区において4 人家族のための住宅の設計を行った。 周辺には田園が広がり、特に北側において地域の象徴でもある芥子山への眺望が得られる場所をクライアントは敷地として選んだ。クライアントからの要望は、生活において利便性という価値観だけではなく、郊外ならではの場所としての魅力を活かした空間を作ることであった。

建築は平屋として計画した。LDK を一室として景観への眺望を獲得できる北側に向け建物の中心に配置し、その周りに個室やテラス、 水回りを配置した整形な平面計画とした。生活の基点となる LDK には、周辺の環境へ繋がっていくように北側に間口 3.93m の開口部を設けた。 またリビングに隣接して、北側の景観が眺められるテラスを計画する事で、ロケーションの魅力を感じながら行う屋外でのアクティビティにも配慮した。

LDKは室内に得られる採光は北側からの間接光となるめ、照明計画はタスク・アンビエント照明とする事で、北側からの間接光としての自然採光と人工照明を調整し、落ち着いた室内環境とすることを目指した。また、順光として北側の景観が室内からよく感じられ、外部とつながり、終わりのない連続的な空間が広がるよう配慮した。

建物のファサードは、西側道路面から駐車ができる奥行き寸法を確保するためセットバックさせるとともに、植栽も合わせて計画する事で、人の通りが多い西側道路面への建築ボリュームの抑制を図りつつ、建築自体のまち並みへの調和にも配慮した。

「緑景へ続く家」では、芥子山を含めたランドスケープを空間の拠り所とする計画を目指した。 クライアントの生活する空間が静寂さと穏やかさを合わせ持ち、この地域ならではの美しい景観を十分に感じられることで豊かなものとなるよう努めた。

設計:上西徹建築設計事務所
施工:株式会社イチエ建匠
写真:たてもの写真工房すえひろ 野上仙一郎
【コンセプト内観】
ランドスケープと一体となったリビング。空間が拡がり、外部とのつながりを感じられるように大きな開口を設けた。この建築の設計コンセプトを明確に示している。
【外観1】
建築はゆとりある敷地面積を活かして平屋として計画し、郊外の建築らしい佇まいとした。建物北側は景観に対するファサードであり、リビングや中庭と連続している。
【外観2】
アプローチ側には駐車場を設け、建物と駐車場の間に植栽を計画した。エントランスの扉は外壁と一体的になるよう同素材で計画した。
【エントランス】
エントランスは靴箱と郵便ポストが一体となった造作家具を計画した。内装仕上げはLDKと同様に計画し、一体感を持たせた。
【リビング】
リビングはくつろげるように光環境には特に配慮した。北面の安定した自然の間接光により、室全体が落ち着いた雰囲気となっている。
【LDK】
壁はモルタル、天井は木毛セメント板を採用し、キッチンはステンレス製として計画したので全体の雰囲気が冷たい印象になり過ぎないよう、床材や家具には木材を用いた。
【キッチン】
キッチンの背面に収納を設けるとともに、食品庫としてのパントリーを計画した。また、キッチンそのものにも収納を別途で計画し、収納量の拡大を図っている。
【シアタールーム】
シアタールームは、開口部の位置を調整することで日中でも使用しやすい計画としている。寝室や応接室としての利用も考慮してLDKとの境目にはスクリーンを設けて緩やかに空間を仕切る計画とした。
【サニタリールーム】
洗面室と浴室は造作で計画し、内装材にはタイルを用いた。壁面のレイアウトは美しくなるように整理・調整した。
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